(2)
まず、テーマに関連のある参考文献を集める。集められるだけ集まるまで読み始めないでおく。これだけしかない、というところまで資料が集まったら、これを机の脇に積み上げる。
これを片端から読んでいくのである。よけいなことをしていては読み終えることが出来ない。メモ程度のことは書いても、ノートやカードはとらない。
それでは忘れてしまうではないかと心配になる人は、カード派であり、ノート派である。そういう人は、この方法のまねはしないこと。まねしてもうまく行くはずがない。全ては頭の中へ記録する。もちろん、忘れる。ただ、ノートに取ったり、カードを作ったりするときのように、きれいさっぱりとは忘れない。①不思議。
(中略)
読み終えたら、②なるべく早く、まとめの文章を書かなくてはならない。ほとぼり(注1)をさましてしまうと、急速に忘却(注2)が進むからである。本当に大切なところは忘れないにしても、細部のことは、そんなにいつまでも、鮮明せんめいに記憶されているとはかぎらない。
たくさんの知識や事実が、頭の中で渦巻(注3)いているときに、これをまとめるのは、思ったほど楽ではない。まとめを嫌う知見(注4)が多いからである。しかし、ノートもカードもないのだから、頭のノートがあとからの記入で消える前に整理を完了しなくてはならない。
本を積んで、これを読破(注5)するのだから、これを③つんどく法と名付けてもよい。普通、つんどくというのは、本を積み重ねておくばかりで読まないのを意味するが、つんどく法は文字通り、積んで、そして読む勉強法である。そして、これがなかなか効果的である。
(注1)ほとぼりをさます:熱気が冷める。
(注2)忘却:忘れること
(注3)渦巻く:ぐるぐる回ること
(注4)知見:見聞して得た知識
(注5)読破:すべて読むこと