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落葉の美しさを感じられるのは、人間の特権であろうと思う。単純に、木々が黄色や赤色に色づいていくから美しいのではない。春には生まれたての黄緑色だった若葉が、夏には濃い緑色となる。このほんの数か月が、葉の人生の最盛期である。そして秋になると、自身の体を赤や黄色に変化させながら、その短い命を終え散っていくのだ。そのはかない(注1)命で、色とりどり(注2)に精一杯(注3)生きたのかと思うと、美しいと思わずにはいられない。葉の命はそれで尽きるが、厳しい冬を終えると、同じ木からまた新たな命が始まる。命とは、なんとはかなく、しかし力強いことか。
(注1)はかない:長く続かない
(注2)色とりどり:様々な色
(注3)精一杯:一生懸命

1。 (58)筆者によると、人間はなぜ落葉を美しいと感じるのか。