従来、書きことばはフォーマルで、話しことばとは一線を画する(注1)ものであったのですが、最近の若者たちのあいだでは、話す口調(注2)そのものに近い文章も多く見られます。とくにインターネットやメールなどでは、文章の話しことば化はさらにすすんでいてく方言の使用もひんぱんに見られるのです。
 そこには、書く文章によっても本音に近いものを、自分の気持ちに忠実なことを素直に表現しうる、新しいしたたか(注3)な感.性が育ちつつあることを実感させられます。もっとも、この傾向は一方で、若者たちが真摯(注4)に考慮した論理的な文章が書けなくなっている、( A )文体が苦手になっているという状況とも比例していることを指摘しておかなくてはなりませんが。

(真田信治『方言は気持ちを伝える』岩波書店より)

(注1)一線を画する:違いがはっきりしていること、はっきり区別するこ
(注2)口調' 言葉の調子。 1
(注3)したたか(な):社会や組織の中で、強く、しっかりしている様子。;
(注4)真摯:まじめで熱心なこと。

1。 問5 〔 A 〕にはどのような言葉が入るか。