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 日本には変わった会社がたくさんある。ある会社は人を雇う時、魚を食べさせて、きれいに食べられた人を採用するそうだ。手先の器用さを見ているのだろうか。しかしもっと変わった会社がある。試験も面接も全くない。入社は申し込み順だ。決して名もない会社ではない。その会社は重さ100万分の1グラム、直径0.14ミリという世界最小の歯車を開発した会社として有名だ。その技術力を買われて世界中から仕事の注文が来る。世界各地へプラスチック小型精密部品を供給している。
普通、人を雇う時は筆記試験や面接をしてよく調べる。それが学歴も経歴も知ることなしに人を雇うのだから本当に驚くべきことだ。それで困ったことはないのだろうか。この会社に応募してくる人は他の企業では採用されないような人が多い。学歴がなかったり、元不良だったり、髪を染めたりしていて断られるらしい。そのような問題児と言われる人たちもきちんと技術を覚えてしっかり働いているそうだ。それどころか大学教授を感心させるほどの知識を身につける人も出ているそうだ。社長に言わせると、企業が「能力がある人がいない」などと嘆くのは、人を育てる能力がないことを示していることになるそうだ。人は認められれば力を発揮するものだ。人が変わり会社も変わっていく。またここにはもう1つ驚くべき決まりがある。会議に参加するのもしないのも社員の自由なのだ。この2つが会社の発展を支えているに違いない。

1。 (問1)この会社はどんな人を採用するか。

2。 (問2)この会社の特長ではないのはどれか。

3。 (問3)社長は先着順採用についてどう言っているか。