A
 褒めれば人は育っといいます。確かに人間は叱られるより、認められたり褒められたほうが嬉しいに決 まっていますし、「よし、次もがんばろう」とやる気も出るものです。リーダーだって、普段からガミガミ言うより、部下を褒めるほうが自分自身の気分も良いでしょう。
 しかし褒めてばかりいると、今度は思わぬ弊害が出てくると私は考えています。確かに部下の士気は上 がるのですが、逆に褒められることが目的になりかねない。「お前は偉いな」と課長に褒められたいから、仕事を一生懸命にやるようになってしまうのです。
(中略)
 「良くやった」「偉いな」などという言葉は、たまに言うから効果的なのであって、日常的に口にして いたら効果は半減してしまうでしょう。要は褒めるところと叱るところ、リーダーはいつも人を見てパ ランスを考えなくてはなりません。

B
 部下のやる気を引き出すようにうまく褒めるのは難しい。的外れな褒め方をすれば「自分をよく見てい ない」と不信感を抱かせてしまうし、皆の前で特定の人ばかりを褒めれば、チーム内の関係が悪化してしまうこともある。さらに彼め続けることで、部下が、仕事への責任感や使命感からではなく、上司に 褒められることを目的にがんばるという状態になってしまう恐れがある。
 このような事態を避けるために、上司には適切に褒める技術が求められる。部下が良い仕事をしたら、 タイミングを逃さずその場で彼めることが効果的だ。また、成果だけを定めるのではなく、仕事の過程の中で何が良かったかを取り上げて褒めることが重要だ。そうすれば、部下も評価された点を明確に自 覚でき、次の仕事につなげやすくなる。

1。 (62) 部下を褒めすぎることの問題点として、AとBが共通して述べていることは何か。

2。 (63) 部下への接し方について、AとBはどのように述べているか。