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 イギリスの科学誌『ネイチャー』の最近の号に、カエルの種多様性と寄生虫の感染率についての論文が 載っています。カエルの全数は同じで、特定の1種類しかいない場合と、数種類のカエルが共存する場 合で、ある種のカエルが寄生虫に感染して発病する割合は、前者のケースのほうが高いという内容で す。つまり多様性が高いと特定の種が病気になる割合が下がるというのです。
(中略)
 他の種が存在することによって自分が病気になる確率が下がるとするのなら、それぞれの種は互いの種 を競争で滅ぼしてしまわないほうが自分も得をします。もしかすると、自分たちの使う資源を他の種に 譲ってでも、それを存続させることが有利になるかもしれません。アリのような種内での協力と同様、 いくつもの種がコストを払って共存し合うことで、それぞれの種が得をしている可能性があります。種のレベルを超えた協力と言えるかもしれません。
 この話がさらに面白いのは、それが寄生虫という、カエルを減ぼしかねない要因とリンクして起こって いる点です。寄生虫の側から見た場合、感受性の(感染する) カエル1種だけのときは、どの個体へも 感染でき、そこで成長できますから、短期的な寄生虫の増殖率は高くなるでしょう。しかし、全部のカ エルに感染して殺してしまうと寄生できる相手がいなくなるため、寄生虫も減びなくてはならなくなり ます。したがって、いろいろなカエルがいることは、寄生虫にとっても、自身の長期的存続を可能に するメカニズムとして働いているのです。

1。 (53)カエルが寄生虫に感染して発病する割合が低いのは、どのような場合か。

2。 (54) 種のレベルを超えた協力とはどのようなものか。

3。 (55) 寄生虫について、筆者はどのように述べているか。