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 私にとって、中学校でのサッカー部の思い出は忘れられないものになった。中でも、コーチの山下先生は、私の人生に最も影響を与えてくれた人だ。
 山下先生はとにかく厳しかった。朝からグラウンドを何周も走らされ、チームの誰かがミスをすれば全員が叱られた。力ちからを抜くことは決して許されなかった。その辛からさに耐えられず、年生になる前にサッカー部を辞めようと思った。ところが、2年生になっても辞めることはなかった。少しずつ自分が成長している実感があり、また試合に勝った時やゴールを決めた時の喜びを感じ始めていたからだ。
 時には調子が悪くなって、悩む時期もあった。そんな時でも、山下先生は試合のメンバーから私を外さず、いつも励ましてくださった。また、チームの仲間が支えてくれた。
 山下先生との出会いを通して、協力をする大切さや人を思いやる(注)大切さを学んだ。この二つは、教師になった今も、常に心にとめていることだ。
(注)思いやる:その人の気持ちになって考える

1。 (31) 辞めることはなかったのは、なぜか。

2。 (32) この文章を書いた人の調子が悪かった時、山下先生はどうしたか。

3。 (33) 山下先生の指導を受けた経験は、この文章を書いた人の何に最も影響を与えたか。