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 医師が説明する診断(注1)の結果、病名、大事なキーワード、治療(注2)の内容など、大事な事柄ことがらはできるだけメモをしておくことが必要だ。面接の最中に詳しくメモをすることは、記者のように職業的に取材に慣れている人でないと無理だが、本当に大事なポイントとか重要なキーワードくらいは、その場でメモできるだろう。当然、メモ用紙とペンくらいは持っていなければならない。
 そういう断片的な(注3)メモだけではどういう意味だったか、すぐにわからなくなるから、面接が終わったら、待合室(注4)のベンチなどで、会計や投薬(注5)を待つ間に、より詳しくメモを追加する。家に帰ってからまとめて書こうなどと思っていると、忘れてしまうことが多い。やはり病院なり診療所にいるうちに、医師の肉声を耳で思い返しながら、メモづくりをするのがよい。
 そして、メモを書こうとすると、①気づかされることがある。わかったつもりで「ハイ、ハイ」と聞いていたことが、実はよくわかっていなかったとか、理屈(注6)がよくわからないとか、今後の治療がどんな日程で進められ、その間に痛みや不快感を味わうことがあるのかどうかについてしっかりと確認していなかった、といったことを思い知らされるのだ。そういった疑問は、次の面接のときに聞くべきものとして、整理しておくとよい。

(柳田邦男 『元気が出る患者学』新潮社による)


(注1)診断:医者が病気について判断すること
(注2)治療:病気やけがを医者などが治すこと
(注3)断片的な:小さくて部分的な
(注4)待合室:病院などで順番が来るのを待つための部屋
(注5)投薬:(医者や病院が患者に)薬を与えること
(注6)理屈:理由と結論の関係

1。 (60)筆者は、面接のときにはどのようにメモをするといいと言っているか。

2。 (61)筆者は面接嫌わったら、どうしたらいいと言っているか。

3。 (62)メモを書くときに何に①気づかされるのか。