(4)
 私たちはだいたい一日14、5時間を起きて生活している。いま、そのきのうの一日を思い出してほしい。(中略)
 こういった一日を思い出すのに、きのう一日ぶんの14、5時間がかかるわけではない。せいぜい5分か6分で、思い出すことになる。
 これは私たちのアタマの中で、一日の出来事が5、6分程度にダイジェスト(注)できることを示している。すなわち、14、5時間の情報は、たかだか5、6分の情報に短縮できるのだ。
 これを〈情報圧縮〉という。じつに不思議なことである。

(松岡正剛『知の編集工学』朝日新聞社による)


(注)ダイジェスト:digest要点をわかりやすく要約すること

1。 (58)「じつに不思議なこと」とは何か。