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コンピュータの登場で、
本の世界は、大きな衝撃を受けた。いまただちに目には見えなくても、その衝撃がボティブロー
(注1)のようにじわじわと効いて、やがて全身におよぶのはまちがいない。本をはじめとするドキュメント
(注2)の領域にコンピュータが進出し、原稿の作成から流通にいたるまで、コンピュータが、多くの場面で大きなパワーを発揮するようになった。紙の本が消えて、デジタルのデータだけになることはとうぶんは考えられないにしても、本の世界は、致命的な一繋をまえにして固唾をのんで
(注3)いる、そんなふうにも見える。
いま起こっている本の革命は、長い時間をへて、どのようになっていくのだろうか。
(歌田明私『本の未来はどうなるか」中公新半による)
(注1) ボディブロー : ボクシングの技
(注2) ドキュメント : 書類
(注3) 固唾をのむ : どうなるのか心配して、息を止めている