自己肯定感は、ほめられることで育つ。(中略)
各分に対する〇は、親や先生、まわりの大人たちからほめられること、つまり認められる経験から生まれ、増えていく。大人の側が、子どもの自己肯定感を育てるような、きちんとしたほめかたをすることが重要になる。
では、きちんとしたほめかた(50)いったいどんなものなのか。たとえば、こんな場面を思い浮かべてほしい。赤ん坊が一生懸命積み木をしている。お母さんがそばにいて洗濯物をたたんでいる。赤ん坊は三つ目の積み木を積んで、どうだ、という顔でお母さんのほうを見る。「よくできたね」と言われたり、にっこり笑ってうなずいたりしてもらえたならば、子どもの自己肯定感は高まるだろう。
自分がここを認めてもらいたいと思っている(51)をきちんとOKだと言われると、認められた側はとても気持ちがいい。自己肯定感は、自分でもよくやったと思う(51)を、そのとおりよくやっているよ、と認めてもらえる(51)で育っていくのだ。
(52)、お母さんが友だちと電話で話し込んでいるとき、ひとりで絵を描いていた子どもが、描き上げた絵を見せにきた。お母さんは話に夢中で、受話中を押さえて「あとでね」と言うとまた電話に(53)。子どもはがっかりする。
もちろん、親にしてもいつもタイミングよくほめたり認めたりできる(54)。だが、相手が見てほしいときにちゃんと見てほめるというタイミングを逃がさないことは重要だ。
(長岩奈々を「〇のない大人 。xだらけの子ども」 集英社新書による)