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現在の日本では、「リサイクル」ということばは、「使わなくなったものを人の手で回収(注1)し、新しい製品を作る原料や材料として利用すること」という意味で使われている。読み終わった新聞や雑誌を集めて紙の原料を作り、トイレットペーパバーなどの製品にする、というのが、一つの例だ。
江戸時代にも、古い紙から紙を作ったりすることはあったが、その量は、今ほど多くなかった。原料がたくさんあったからとか、使う人が少なかったからとかいうわけではない。わぎわぎ古い紙を回収しなくても、人が普通に生活しているうちに、資源(注2)が自然に循環(リサイクル)していたのだ。
なぜそんなことができたかといえば、それは、資源のほとんどが、植物性のものだったからだ。食べたり、使って捨てたり、燃やしたりしても、それは、土地に返り、また植物を育てる。つまり、植物の自然の循環(リサイクル)に合わせて、人間が生活していたということなのだ。
(注1) 回収 : 一度配ったものを、また集める
(注2) 資源 : 自然のなかにある原料や材料