それまでおだやかだった人が、ちょっとしたことを(5 0 )はげしく怒り出すことがあります。まるでその人の血管が突然切れたように見えることから、カタカナで「キレる」と言うようになりました。
 だまって教室を出ようとした生徒を先生が注意したところ、突然その中学生がナイフを取り出して、先生を刺し殺す事件がありました。その事件以来「キレる若者」が社会の問題になりました。
 ところが2000年から10代の若者がキレて起こす事件数は大きく増えていないのに、50代、60代の人がキレる事件が非常に多くなりました。
 たとえば「ちょっと電車が遅れたり、眠っているお客を起こしたりしたとき、怒ってキレるのは中高年の男性です」と証言する駅員もいます。
特に、客にはあまり(5 1 )サービス業の人たち、役所の公務員などを相手に、つまらないことで何時間も大声で怒るような人が増えました。
 本来ならキレる若者を注意I 5 2 I大人が、なぜキレるのでしょうか。
 昔の老人は、長い人生で得た知識や経験を尊敬されました。現代は次々と新しい機械や技術ができて、ついていけない中高年も少なくありません。以前なら技術を教えて(53-a)若者から、教えて(5 3-b)ならなくなりました。これはつらいことでしょう。
 また会社を辞めてから、地域に話し相手もいない男性が多いのです。心の中にこういう不満やさびしさをかかえることが、中高年がキレる原因かもしれません。
人生経験のゆたかな大人(5 4 )、おだやかな人ばかりではないのです。

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