秋になり、文房具屋に来年の手帳が並ぶようになった。一般的に、手帳を選ぶ場合に重 要なのは、書きやすさ、見やすさだろう。大きさも大切な点だ。だが、私がいちばん大切 にしているのは、表紙だ。絵や柄で選ぶ人もいるが、私は色で選ぶ。
いつも手帳を持ち歩く私は、手帳の色に影響を受けていると感じることがある。予定を 書いたり、友達と会う場所を確認したりするため、一日に何度もかばんから取り出すが、 そのたびに表紙の色が目に入るからだ。それで、この数年は元気が出るように派手な表紙 のものを選んできた。今使っているのも、明るいオレンジ色だ。考えてみると、手帳は家 族や親友より、一緒にいる時間も長いのだ。
でも、今年は手帳選びに時間がかかっている。30歳になり、もっと落ち着いた気持ちで 仕事をしたいと思うようになってきたのだ。そうは言っても、ストレスのたまる仕事なの で、やはりこのまま元気の出る赤や黄か、気分の落ち着く黒や茶か、なかなか決められな いでいる。