(3)
論文というものは言葉で書くものである。あたりまえのことだが、これは肝心な(注1)なことである。ということは、よい論文を書くためには言葉に敏感でむければなかならないということである。しかし、それはかならずしも、なにか特別ながもっともらしい(注2)言葉をうまく操れなければいけないということではない。むしろ、自分の身についた、ふだんはなにげなく(注3)使っているにすぎないような言葉を、いちいち、しっかりととらえなおし、その意味を自分にとってたしかな手応えのある(注4)ものにしてゆくということである。
(注1) 解さな : とても大切な
(注2) もっともらしい: いかにも本物らしい
(注3) なにげなく : 意識しないで
(注4) たしかな手応えのある : ここでは、確信の持てる