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何かを評価する時、日本人は100点を満点とする方法を余りがちです。小学校入学以来、繰り返し行なわれるテストがその典型で、すべての出題に正解すれば100点。間違った場合は、その分を差し引いていく。つまり減点法です。
これは中間レベルを相対的に(注1)評価する場合に適しています。たとえば30人のクラスで100点満点のテストを実施したとしましょう。得点(評価)はO点から100点まで分布します。60点の人は50点の人よりも高く評価される。これは誰にでもわかります。
ところが、100点の人が5人いたとしたら、どうでしょうか。5人が優秀なのはわかるけれど、彼らに正当な評価がされたとは言えません。100点という「天井」を設定したために、評価が曖昧になってしまうわけです。
こうした方法で評価していると、評価を受ける側は100点を目標にするようになります。試験に出そうなことだけを勉強し、それ以外はやってもムダと考えるわけです。すると、努力し続ければどんどん伸びる可能性があるのに、100点で止まってしまうことになります。
こうしたことを避けるために、評価方法として加点法を採用している分野も少しはあります。
(中略)
減点法と加点法の違いを一言で言えば、失敗をカウントするか、成功をカウントする(注2)か、ということです。社会生活を営む(注3)大多数の人間は評価を求めて生きますから、適用される評価法に合わせて行動様式(注4)を変えます。失敗がカウントされるなら、失敗を減らすように努めるし、成功がカウントされるなら成功を増大させようと努めるわけです。
(川口淳一郎r「はやぶさ」式思考法 日本を復活させる24の提言』飛鳥新社による)
(注1)相対的に:ほかのものと比べて
(注2)カウントする:数える
(注3)社会生活をぎむ:社会で生活する
(注4)行動様式:行動のしかた