予定がないと不安になる人がいる。先日、喫茶店で見かけた女性がそうだった。
 彼女はバッグの中から、赤い手帳を取り出して、しばらく眺めていた。そして、突然電話を次々とかけ始めた。それでも飲み会や食事やデートの約束の埋まらない一日があるようだった。
 空白の木曜日。それが彼女には我慢できなかったらしい。最後には、いつも行っている美容院に電話をかけ、この間かけたパーマが気に入らないので、もう一度かけ直してほしい、来週の木曜日しか空いていないから、木曜に予約を入れてほしいと主張し、とうとう木曜日の予定を手に入れた。彼女は、真っ黒に埋められたページを見つけて、①満足そうにほほえんだ
 一方、私の手帳は真っ白だ。正確にいうと、昨日までの過去にはいろいろ書かれているが、今日から先はまるで白紙。未来には、何も書かれていない。彼女のように私も手帳を開いた。しかし、見つめても見つめても、予定は何も浮かばなかった。

1。 (28)「喫茶店で見かけた女性」はどんな人だと言っているか。

2。 (29)①満足そうにほほえんだ

3。 (30)「私」の手帳はどんな手帳だと言っているか。