限られた時間や財産ではすべての目標を達成できないとすると、何かを行うときに犠牲になっているのは、突き詰めてみれば、それによつて実現できなくなる別の目標なのです。お金や時間はこうした犠牲を計る上での大切な目安ではありますが、それだけでは判断が不正確になる恐れがあります。一つのことを実行する前に、それを行う替わりに何ができなくなり何が手にはセlらなくなるかをきちんと考える。そうした犠牲を払ってもなお実行する価値のあることだと判断したならば実行する。経済的な行動とは、結局はそういうことです。
(南山大学経済学部「大人になるための経済学入門」日本放送出版協会による)