教育については、①ぜひ実現するといいと思うアイディアを持っています。
それは、⼤学教育にかかる費⽤を⾦融機関が学⽣に貸し出した際、その債務(注1)の保証を国がするという制度です。要するに、銀⾏の教育ローンの国家保証制度。もちろん銀⾏の教育ローンそのものは今でもありますが、これを国家保証にすることがポイント(注2)です。
すなわち、銀⾏にとってはノーリスク(注3)。貸出しをした学⽣が将来個⼈破産したり、ローン返済(注4)前に死亡したりしても、国が債務を保証してくれるなら積極的にローンを貸し出しますね。
学⽣の親にも⼤いにメリットがあります。⼦どもの教育費負担の中でも、最後の⼤学は⾮常に重荷です。2〜3⼈の⼦どもを持った場合、40代、50代となった親に教育費負担が重くのしかかってきます。それを、もう親は払わず、⼦どもが払うことを当たり前にするのです。
親が学費の⾯倒を⾒るのは⾼校まで。⼤学からは⼦ども⾃⾝が銀⾏から借りて、卒業後に⾃分で稼いで返済する、というのが当たり前になれば、親の⾦銭的、⼼ 理的負担は解消されます。そうすれば、もう1⼈2⼈産んでみようか、という⼈も増えるかもしれません。少⼦化対策にもなりますよ。
私は10年前から明治⼤学で教えていますが、勤労学⽣(注5)の⽅が総じて授業に熱⼼です。なぜならコスト意識がはっきりしているから。
⼤学の費⽤はすべて親が負担しているのが、今の⽇本の⼤学⽣の⼀般です。しかしその状況は、親は⾦銭的につらいのに、肝⼼の(注6)⼦どもはコスト意識が薄いという問題を抱えています。苦労して⻭を⾷いしばって⼦どもを⼤学に出しながら、実は②「⼦どもをダメにしているかもしれないのです。
もし学⽣が⾃分でお⾦を払っている意識を持てば、授業への参加率も上がり、元を取ろうとするでしょう。不真⾯⽬な教員には⽂句を⾔うようにもなります。授業の「単価」を計算して、それに⾒合った成果(注7)を上げようと努⼒し始めるでしょう。
⾃分で授業料を払うようになれば、2割から3割くらい、もっと熱⼼に授業に取り組むようになるのではないでしょうか。
学⽣は、両親がお⾦持ちかどうかにかかわらず、試験で良い成績を修めさえすれば、お⾦の⼼配もなく、質の⾼い教育を受ける機会を持てるのです。家が貧乏(注8)で授業料が払えないから⼤学に⾏けない、なんてことはなくなります。
(注1)債務︓借⾦を返す義務
(注2)ポイント︓重要な点
(注3)ノーリスク︓危険がないこと
(注4)返済︓返すこと
(注5)勤労学⽣︓働きながら⼤学に通っている学⽣
(注6)肝⼼の︓もっとも重要な
(注7)成果︓得られた良い結果
(注8)貧乏︓お⾦がない