寿司屋のカウンターで最初に注⽂するのが中トロ。ある︖なんか⽂句ありますか。え、はなから中トロは邪道だって。いいじゃん、好きなんだから。なんたって、寿司の王様はマグロですよ。それも、いい塩梅にとろりとした中トロ。このネタの具合で、その⽇の仕⼊れも想像がつく。なんてほど⾷通ではござんせんが、⼀時マグロの具合の悪かった時期がある。
⼤陸の⽅でも鮮⿂を⾷べるようになったとかで、⽇本の市場が買い負けている、てのが理由らしい。要するにマグロが⾼くなったのだ。結構じゃござんせんか。マグロは安くなくていい。マグロが⽫に乗ってくるくる回りながら安売りされてる図なんて、考えたくもねえんでござんすよ。そうやっているうちに、うまいマグロがいなくなったら、世界中でマグロ戦争が勃発する。いや、戦争にならなくったって、世界中の寿司屋のカウンターからマグロが消滅して、代⽤品のアボガドが並ぶようになる、つうもんですぜ、いやさ。
うまいマグロは⼀⽣懸命に働いて貯⾦して、記念⽇とか誕⽣⽇に清⽔の舞台から⾶び降りる覚悟で⾷べるくらいがよいんでやんす。世の中では⾼いからうまい、という理屈が⽴派に通⽤するんでござんすぜ。