「花屋ダイヤリー」は⼀軒の花屋が舞台の⼩説です。花屋のアルバイト店員と、花を買いに来るさまざまな客との関わりが、ていねいに描かれています。
作者の⼭⼝静かは2012年に「⼀⼈」で⼩説最優秀賞を取った注⽬の⼥性作家です。若者の純粋さを、愛情を持って表現するところに⼈気があります。
「花屋ダイヤリー」では、学校にも⾏かず仕事もしない17歳のユウが主⼈公(注1)です。何も興味を持ってなかったユウは、⼩さな花屋でアルバイトを始めます。そこには毎⽇、1輪だけ花を買いに来るおばあさんや、ゲーム機と交換に花を買いたいと⾔う⼩学年など、少し変わった客が次々と現れます。客はみなユウに花を選んでほしいと⾔います。困ったユウは、どうしてその花を書いたいのか、誰のための花なのかなど、①事情を客にたずねます。
客と話をするうちに、ユウは⼈との関係の⼤切さや働く意味など、いろいろなことを考え、変わりはじめます。何の喜びもない⽇々を送っていたユウが、働いて⼈の役に⽴つ中で明るく強くなっていく様⼦に、読者は②元気づけられるでしょう。それは作者から読者へのエール(注2)でもあります。また、たくさんの花の名前と花⾔葉(注3)が紹介されているので、だれかに花を贈るときに役に⽴つ知識も得られます。
⼈間関係に少し疲れているときや⽬標が⾒つけられないときに読むと、⼈が好きになり⼼が元気になる⼀冊です。ユウと同年代の⼈にぜひ読んでほしいです。
(注1)主⼈公︓⼩説などの中⼼⼈物
(注2)エール︓スポーツなどの試合で選⼿を応援するときの声・声援
(注3)花⾔葉︓⼀つ⼀つの花に意味を待たせたもの。バラは「愛」など