⽇本⼈にとって桜は特別な⽊である。春になると桜の花の美しさを求めて、家族や仲間が集まって花⾒を楽しむ。桜で有名な場所は各地にあるが、近所の公園や並⽊道(注1)などにも、桜が楽しめるところは数多くある。
桜はとても⼿がかかる⽊である。花は春の1週間ほどはきれいだが、すぐに散り始め、⼩さな花びらがあちこちに⾶んで⾏き、何⽇も掃除しなければならない。葉は秋に⾚や⻩⾊に変わり、再び私たちの⽬を楽しませてくれるが、すぐに落ちて、⼤量の落ち葉を⽚づけるのが⼤変である。しかし、美しい花や紅葉を⾒せてくれるのだから、①掃除ぐらいで⽂句を⾔ってはいけないだろう。桜に②最も⼿がかかるのは、⻑⽣きさせることである。放っておく(注2)と60〜70年ぐらいで⽊が弱り、枯れてしまうと⾔われている。このため、不必要な枝を切ったり、重くて下がってきた枝を⽀えたり、⾊々と世話をする必要があるのだ。このような作業はとても⾯倒だが、桜を⼤切に思う⼈々により全国で⾏われていて、樹齢100年を超える桜も珍しくない。
古くからある桜を⼤事にするだけでなく、新しい桜を植えることもさかんだ。新しい公園や学校ができると必ず若い桜の⽊が植えられる。⼿がかかると分かっていても、⽇本⼈は⾝近なところに桜の⽊があってほしいと思うのだ。⽇本⼈にとってこれほど特別な⽊は桜の他にはないだろう。
(注1)並⽊道︓何⼗メートルも、両側に⽊が植えてある道
(注2)放っておく︓世話などを何もしない