科学技術の進歩によって、私たちの⽣活はより快適で便利になっている。しかし、便利になるということは、①⼈間の能⼒が失われることだとも⾔われている。
例えば、重いものを持ち上げて運ぶとき、機械がなかった時代には⼈が⾏っていた。昔の武道(注1)を研究している⼈の話によると、これはそのころの⼈が今よりずっと⼒があったというわけではなく、どのように体を使えば重いものが運べるかがわかっていたので、できたのだという。だが、今は②それが伝えられることもなくなりつつある。
また、⽂字を持たない社会には、⾮常に⻑い物語や詩などでも、覚えて伝えられる⼈がいた。しかし、今、そのような⼈は⾮常に少なくなっている。こうしたことを考えると、⾃分たちがなくしたものの存在に気づかされる。
これから、私たちはどのような能⼒を失うのだろうか。
(注1)武道︓武⼠が戦いのために⾝につけなければならない技術や精神