つぎの日は日曜日だった。夫は日曜出勤(注1)だった。送り出してから、小谷先生は出かけるしたくをした。奈良へいくつもりだった。学生のころ、古美術(注2)クラブに入っていたので、京都、奈良のお寺はよく歩いていた。結婚してからいちどもお寺にいっていない。結婚と学校につとめたのが一緒だったのでしかたがなかったのだが、なんだかさびしい気がしていた。

(灰谷健次郎『兎の眼』新潮社)



(注1)出勤:会社に行くこと
(注2)古美術クラブ:古い絵などを見たりする会

1。 (1)小谷先生について、正しいものはどれか