「⽇本の消費者は世界⼀(注1)、 ⽬が肥えている」という⾔葉には2つの意味がある。第1は機能や味などへの要求⽔準が⾼いこと。第2には、わずかな傷も許さないなど⾒た⽬へのこだわりだ。
 消費者は後者のこだわりを捨てつつある。それでは7消費者は嫌々「傷物」に⽬を向け、我慢して買っているのか。必ずしもそうではない。
 ⾐料品や家具などでは中古品市場や消費者同⼠の交換が盛んだ。再利⽤でごみが減り、環境にもいい。商品の傷も前の使⽤者の ぬくもり(注2)とプラスにとらえる 感性(注3)が若い⼈を中⼼に広がっている。
規格(注4)外の農産物も似ている。ごみになるはずのものを安く使い、エコロジーと節約を両⽴させることに、前向きの価
値を⾒いだしているのではないか。不ぞろいな野菜は、むしろ⼿作り品を思わせる⻑所。消費者の新たな価値観に、企業がようやく追いついてきた
 市場が広がれば、 粗悪品(注)や不良品が出回る可能性も⾼まる。なぜ安いのか。本来の価値は損なわれていないか。企業の責任は重い。消費者にも「厳しい⽉」をきちんと持つことが求められる。
(注1)⽬が肥えている︓よい物を⾒慣れていて、物の価値がわかる
(注2)ぬくもり︓あたたかい感じ
(注3)感性︓感じ⽅
(注4)規格︓基準
(注5)粗悪品︓粗末で質が悪いもの

1。 (1)以前と⽐べ、消費者はどのように変わったか

2。 (2)筆者は、消費者の意識の変化をどのようにとらえているか

3。 (3)追いついてきたとあるが、企業がどうなってきたのか