1ヶ⽉ぐらい前の⼣⽅、ちょっと⼤きな地震がありました。その時、私も、⼀緒に住んでいる⺟も外出をしていて、家にはいませんでした。
その晩のことです。私は何だかよく眠れなくて、ベッドでラジオを⼩さい⾳で聞きながらうとうと(注1)していました。夜中に何回か古い柱時計(注2)鳴るのを聞いたように思いました。んだと思いました。
Aところが、次の朝、別の部屋で寝ていた⺟が⾔いました。「昨⽇の晩、柱時計が鳴る⾳が聞こえなかった︖」「Bまさか。うちのは何年も使っていないんだもの。鳴るはずがないよ。」亡くなった⽗の部屋には古い柱時計があるのですが、ずっと動かしていませんでした。でも、⺟も時計の⾳を聞いたのです。私は不思議に思いました。
Cそこで、⼆⼈で時計のある部屋に⾏ってみると、時計は本当に動いていました。私達はびっくりしましたが、すぐに分かりました。前の⽇の地震で家が揺れたとき、時計のふりこ(注3)も揺れ、⾃然に動き出して、時計が鳴ったのです。
⺟は、⽗がこの時計を⼤切に使っていたことを思い出し、「この時計はまだ動くんだって伝えたかったのかもしれないね」と⾔って笑いました。それからは、またこの時計を動かして使っています。⽗も喜んでいるかもしれません。
(注1)うとうと︓ 眠りが浅い様⼦
(注2)柱時計︓ イラスト参照
(注3)ふりこ︓ イラスト参照