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 21世紀に入って一段落した頃から①ネコ型社員が増えてきた。その理由は結構単純で、若い世代を中心に「平坦な(注1)未来」を自然に感じている人が増えたからだと思う。

 とても優秀だな、と思うような若手からこんなことを聞かれることも多い。

 「そもそも、経済ってどこまで成長する必要があるんですか?」

 これは結構難しい問いだと思う。景気が後退し、職を失う人が街に溢れるのはいいことではない。また、飢餓(注2)や貧困を脱したいとは誰もが願う。

 恐慌(注3)とされるほどのマイナス成長は、確かに人々を不安に陥れる。しかし、経済成長率が高いほど私たちは幸せになれるのだろうか。

 むしろ景気が良くなると胡散臭い連中(注4)が幅を利かせるようになる。結局、上手にタイミングをつかんだ者だけが富を得られることが成長の果実なのか。そんな、感覚になってもおかしくはない。

 ②経済成長が横ばいでも、幸せな生活は十分できるのではないだろうか?

 2008年からの不況は、世界中が「成長を過剰に見込んだこと」の調整的な面がある。若手社員が感じていた、③成長への感覚的な懐疑は未来の本質を突いていたように思う。それがネコ型社員となって表れる。

彼らは、成長期の観念から抜け出せない人々に対して懐疑的だ。

(山本直人『ネコ型社員の時代』新潮社)



(注1)平坦な:平らな様子
(注2)飢餓:食べ物が不足すること
(注3)恐慌:経済がひどく悪い状態
(注4)胡散臭い連中:怪しい人たち

1。 (10)①ネコ型社員とはどんな社員だと言っているのか

2。 (11)②経済成長が横ばいでも、幸せな生活は十分できるのではないだろうか?とあるが、どういう意味か

3。 (12)③成長への感覚的な懐疑とはどういうことか