自分の一人がサバンナにぽつんと立っていて、そこにライオンが来れば自分が食われてしまう可能性は非常に高いわけですが、もう一人いれば、確率は二分の一になります。三人いれば三分の一、というように、多くいればいるほど自分犠牲になる確率は少なくなるのです。

(中略)

では、集団は大きければ大きいほどいいのでしょうか。そんなことはありません。あまり大きくなると、こんどは①損失が生じてきます。一人あたりの分け前が減るのです。有限の食物が集中して存在しているときには、それを食べる人数が増えれば増えるほど一人あたりの取り分は減ります。取り分を増やそうとすると、新たな食物を深さなければなりませんが、それには移動のためにエネルギーや時間を使わなければなりません。つまり、捕食者対策の利益と採食競合の損失の釣り合いがとれたところで、集団の大きさは決まっているといえます。

集団が大きくなると採食の面で損失が増えるといいましたが、実はこれは集団がひとつしかない場合のことです。隣接する集団がいて、同じ食物を巡って争っている場合はどうでしょうか。集団間の争いの場合、単純に考えて数が多い方が優位になります。ということは、数が多い方が採食にとって有利に働くこともあるのです。

(小田亮『ヒトは環境を壊す動物である』ちくま新書による)

1。 ①損失の内容に最も近いものはどれか。

2。 筆者の説明と合っているものはどれか。

3。 この文章は主に何について述べたものか。