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先日、テレビであるタクシー会社の話が紹介されていた。
タクシーの運転手は、利用者から「急いでください」と言われることが多いので、急ぐことがサービスになると思っている人が多い。それで、走り出してすぐにスピードを上げたり、前の車が遅いときは追い越したりしていた。ところが、その会社が利用者にアンケート調査を行ってみると、70%以上の人が「ゆっくり走ってほしいと思ったことがある」と答えたそうだ。
「①驚きました。多くのお客様が希望しているサービスは、私たちが考えていたのとは反対のものだったんです。」と会杜の人は話していた。
会社は、この結果から、必ずしも急ぐ必要がある人ばかりではないと気がついた。急ごうとすると、どうしても車が大きく揺れてしまうことがある。小さい子供を連れた人や車に酔いやすい人など、ゆっくり丁寧に運転してほしいと思う利用者もいるのだ。しかし、急いでくれている運転手に「急がなくてもいいから、丁寧に運転してください。」とは言いにくい人が多いのだろうと考えた。
そこで、この会社では、利用者が座る席の前にボタンをつけ、利用者がそのボタンを押せば、いつもよりゆっくり丁寧に運転するというサービスを開始した。希望を言い出しにくい人でも、遠慮なく希望を運転手に伝えることがきる。
このサービスを喜ぶ利用者は多く、会社のイメージも上がって予約が15%もアップしたそうだ。それに、丁寧に運転するとガソリンの消費量も減り、環境にも優しい、そう考えると、これは②素晴らしいアイディアなのではないだろうか。