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子どものころ住んでいた町には小さな神社があって、そこには大きな①桜の木が1本あった。わたしは、その桜の木が大好きで、よく木のそばで、友達とおしゃべりをしたり、本を読んだりした。春には毎年美しい花を咲かせるので、遠いところからも多くの人が花見に来ていた。
引っ越してから20 年以上その町に行く機会がなかったが、先週、仕事で行くことになった。ちょうど桜の季節だったので、神社にも行ってみた。
桜は、昔ほど美しく咲いていなくて、がっかりした。そして、花見客もあまりいなかった。
よく見ると、桜の木の周りはロープで囲まれ、近くに行くことができなくなっていた。神社を掃除していた人に、②その理由を聞くと、根の上を踏まれすぎて、桜が枯れそうになったからだと話してくれた。桜は根を土の中の浅いところに広げるため、根の上を踏まれると、土が固くなって呼吸ができなくなるのだそうだ。
木のそばに行けなかったのは残念だったが、早く元気なって、また美しい花を咲かせてほしい。