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教師=話す人、生徒=聞く人という構造が知らず知らずのうちに教室空間にできあがり、そして固定化してしまうのは恐ろしいことではないかと思う。教師が先取りしてしまうことで、生徒が自分自身で考え、解決しようとする芽をつみとってしまう場合がある。いつも話し続けるのがコミュニケーションでない。教師側が沈黙し、「待つ」という行為も時には大切であろう。もう少し話したい、と思うところで一歩ひいてみる
(注)ことで、相手が言おうとすることを引き出すことができるのである。
(徳井厚子『日本語教師の「衣」再考―多文化共生への課題』による)
(注)一歩ひいてみる:ここでは、話すのをやめてみる