A
子どもたちが社会全般のあらゆる分野に関心を向けようとするとき、まんがはその垣根 を低くしてくれる。これは、まんがというメディアの強みだと思う。気軽に手にしたマン ガをきっかけに、知的好奇心が刺激されたりすることもあるだろう。正味15分たらずの休 み時間、まんがの世界に入り込んでいた子どもたちの横顔を思い出す。まんがならではの 魅力があることも確かだ。魅力は堪能してほしいし、強みは学校図書館活性化に利用した
まだ人生の入り口ともいえる小学生。彼らを多様なメディアの魅力に出会わせたいとい う思いと、学校図書館が彼らにとって魅力的な場所であってほしいという思いがある。だ から小学校でも(制約は多くても)選書のアンテナはマンガにもはって
(注)おいてほしいと、 職を離れたいまも思っているのである。
(若葉千佳子『子供の本棚』2007年 12月号による)
(注)選書のアンテナを~にはる:ここでは、本を選ぶために~に関心を向ける
B
マンガを他の本と区別して考える方向は間違っているといえる。マンガを図書館に置くことによって、子どもは勉強しなくなるという神話から決別すべきである。学校図書館としては、絵本や写真集、童話や物語などの本の読み方を教えるように、マンガやアニメについてもその見方や特性を教えなくてはならないし、そのことを通して適切な学習資料を 適切な場面で活用するようになると思われる。
(中略)
学校図書館の担当者は、図書購入に際して、直接学習に役立つ図書だけを購入するので なく、長い目で見て子どもたちの学習や人格形成に役立つ図書も購入するゆとりを持つこ とが大切である。
(渡部康夫『現代の図書館』第192 号による)