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 井上ひさし(注1)さんが、「エッセイとはすなわち、自慢話である」といったことを書いて 「いらしたのを、以前読んだことがありますが、私はその文を一読した瞬間、「ああっ!」と 叫んで赤面した(注2)のでした。
 エッセイ=自慢、とはまさにその通り。エッセイを書く仕事をしている私は、心のどこか でそのことを感じつつ、気付かない努力をしていた気がする。しかしそのようにズバリ言 われると、「私は今まで、自慢話によって、口を翻して(注3)きたのだなあ」ということが、 明確に理解できるのです。

(酒井項子『黒いマナー』による)


(注1) 井上ひさし:日本の小説家
(注2)赤面する:顔が赤くなる
(注3) 口を網する:ここでは、生計を立てる

1。 (47)筆者が「ああっ!」と叫んだのはなぜか。