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何かを学ぶということは、もちろん問題に答える知識や技術を身につけるという意味もあるけれど、それは実は学ぶことの本質ではない。ぼくらは本や学校で、これまでひとが見出してきたさまざまな秩序、筋道を学ぶ。だけどそうやってさまざまな「型」を学ぶことによって今まで見えていなかった。あるいはぼんやりとしか見えていなかった。「型やぶり」なものが見えてくるようになる。つまりは、学べば、学ぶほど、見えてくる問題は増えるというわけだ。
(野矢茂樹『はじめて考えるときのように、『わかる』ための哲学的道案内』による)