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 これから起こる社会の変化を読みとるのは難しい。しかし、その変化を見極めて将来に対する指針をもたなければ、激しく変化する社会のなかで自分を見失ってしまう。歴史学は、この時代の変化を長い時間のなかにおいて見据え、社会め進む方向を教えてくれる学問である。けっして、過ぎ去った過去を記憶したり、なぞったりする学問ではない。ゆるやかに流れる時代にあっても激動する時代にあっても、歴史学は私たちの行く(注1) 手を照らす一条(注2) の光なのだと思う。

(高山博『歴史学未来へのまなざし――中世シチリゕからグローバル・ヒストリーヘ』による)


(注1) 行く手:行く先
(注2) 一条:一筋

1。 (47)歴史学について、筆者はどのように考えているか。