(1)
現代、恋愛は、通常は部分でしか他者とかかわり合いをもたない個人にとって、例外的に全人格と全人格とのぶつかりあいを経験する、特別な関係なのであろうか。それとも、「全人格的」というのは幻想で、恋愛もまた互いに自己のある一面を見せあう、部分的関係の一例か。これはもちろん、そのどちらなのか、という問題ではなく、個々の恋愛はこの振幅のどこかにあるということになるだろう。だが、趨勢(注)としては後者の方へと振れてきているのではないだろうか。

(草柳千早「AERA MooK」 1999年7月10日号による)


(注)趨勢:傾向

1。 (46)筆者は、現代の恋愛はどうなってきていると考えているか。