以下は、作家有栖川氏が友人の野間氏似当てて書いた手紙である。
前略 ご無沙汰していますが、お変わりありませんか。
 こちらは元気でやっています。
 先にハガキでお知らしたとおり、三月に引つ越しをしました。大阪にくることがればぜひ立ち寄ってください。積もる話もあるので、泊まりがけで着てもらえるなら、なお歓迎します。
 さて、お送り下アモン. デユール∐の、『ウルフ. シデイ』ハ、大学時代に(41)借りたもの(のばす)です。長い間、どうもありがとう。二十年以上もか借りてしまって、申し訳ない。
 [なくしたと思ってCDで買い直した]ということのありませんように。
 引つ越し後二整理をしていたら、(注1)人様から借り他ままの本レコードがぼろと出てきて(注2) 猛省し、項に持ち主へ返還していっているのです。
 (42)[ある筈なのに見当 足らない本]が尐なからずあって、それを誰に貸しをたか思い出すのに 一苦労しています。君のように、借りた本をきちんと返す人は珍しいわけです。
 君に(43)、たった一つ。五年ほど前、神戸で合った時、[ホテルに財布を忘れてきた]と言うから貸した一万円だけか。(44)会っていないんですね。年をとると、時間がたつのが早く驚きます。ともあれ、遠からぬ(注3)来訪を待っています。神戸で盛り上がった話の続きでも(45)。
 では、また連絡ください。奥さんによろしく。 草々
 二00四年五月十六日
野間亜門様
有栖川有栖
(注1)人様(ひとさま):ほかの人
(注2)猛省する(もうせい):強く反省する
(注3)来訪(らいほう):訪ねてくること

1。 (41)

2。 (42)

3。 (43)

4。 (44)

5。 (45)