広告主の品位
 きょうはCMの中身ではなく、CMの出し方について、広告主の人たちにお願いをしたい。
 番組の途中にCMが(41)。が、モンダイはその入り方のタイミングだ。たとえば、歌やものまねのうまさを競い合う番組の中で、いざ、審査員の点数が出ようとするその直前に、ポンとCMが割って入る。あるいは、クイズ番組の中で正解が発表されようとするその瞬間に、サッと画面がCMに入れ替わる。ああいうせこい(注1)ことは(42)。
 あれは広告主がやっているわけでなく、番組を作っているテレビ局の人の考えでやっているんだろう。が、それだったら、そういういやらしいCMの入れ方はしないでほしいと、テレビ局の人に注文をつけてもらいたい。
 (43-a)、みんながテレビの前で身を乗り出している瞬間にCMを入れれば、見られる(43-b)。が、わざわぎ番組の流】を断ち切り、視聴者の感興(注2)をそいでまで強引にCMを見せようとするやり方って、さもしくないだろうか。みっともなくないだろうか。
 CMのセンスは、企業のセンスのあらわれである。それはCMの中身だけでなく、CMの出し方にも言えることだ。せっかくいいCMを作っても、ああいう出し方をされると、なんと視聴者をバカにした企業だろうと思われてしまう。いやおうなしに(44)ああいうやり方は、極端に言えば茜カみたいなものであって、消費者を大切に思う企業のやることじゃない。
 近ごろハヤリの言葉で言えば、これは企業の「品位」にかかわるモンダイである。(45-a)だけじゃない、(45-b)だいぶ前から、「品がねえぞ」と怒ってるよ。

(天野祐吉朝日新聞2008年4月15日付朝刊による)


(注1)せこい:ずるい
(注2)感興をそぐ:何かについて持っている興味をなくさせる

1。 (41)

2。 (42)

3。 (43)

4。 (44)

5。 (45)