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 データが示す姿は光の部分もあれば影の部分もある。そのどちらか一方だけを強調することは、分かりやすさという面はあるものの、 徒に対立軸を先鋭化(注)させたり、無用の混乱を生じさせる危険性がある。
 これらをいちいち意識しているのは大変であるが、尐なくともデータをやみくもに信じてしまう態度だけはとるべきでない。データの罠を見分ける力、すなわちデータリテラシーは、多くの人にとって必要なものではあるが、本来は、公平で客観的な報道に努めるべきメディアに携わる人間が、しっかりと備えていなければならない必須の条件である。

(田村秀「データの罠―世論はこうしてつくられる」による)


注:先鋭化させる:ここでは、目立たせる。

1。 (49)筆者によると、報道に携わる人間が備えておくべき必須条件とは何か。