以下は、小中学校での法教育について書かれた文章である。
 すべての法律を小さいころから学習していくことは不可能なことですが、法的な考え方(リーガルマインド)を身につけることで、自分で考え・調べ、自分で解決する能力は格段(注1)に高まります。
法教育というとどうしても、「法律を教える」と考えがちですが、それだけが法教育ではないのは、言うまでもありません(注2)。クラスのみんなで、クラスの問題点を洗い出し、どうすれば解決できるのか.そしてそれを解決するため、また、再発させないためにはどのようなルールが必要か、ということを話し合い、みんなで民主的に(注3)ルールを作っていくこともまさに①法教育の一つの姿です。
 さまざまなルール(法)は民主的に作られ、約束事(契約)は当事者(注4)の合意(注5)により締結される(注6)といった、法の基本的なところを身をもって体験することができます.
 また、新聞を多用し、時事的なニュースを使った法教育も効果があります。憲法改正、選挙の問題、消費者問題などは、それだけを教えようとするとつまらないものですが、新聞などを使った旬の(注7)話になると、子供たちの興味も惹きやすくなります。自分自身のことと考えることができるかどうかは、理解のスピードに大きな差を生みますが、具体的な「今」問題となっている事例は、その点、すぐれた教材となります.

(にへいひろし(二瓶裕史)『これだけは知づておきたい人生に必要な法律』による)


(注1)格段に:非常に
(注2)言うまでもない:当然だ
(注3)民主的に:ここでは、了解し合って
(注4)当事者:直接関係している人
(注5)合意:意思が一致すること
(注6)締結される:ここでは、成立する

1。 (60)①法教育の一つの姿として、本文挙げられている例はどれか。

2。 (61)筆者によると、新聞を使うといいのはなぜか。

3。 (62)小さいころから法教育をすることの利点について、筆者はどのように述べているか。