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大人になってからの勉強で、なかなか理解が進まないことの大きかな原因の一つが、実は、復習をちゃんとしないことにある。学生時代の勉強は、いやでも復習がカリキュラムの中に織り込まれている
(注1)はので、知識が定着しやすくなっている。これに対して、大人になって自分で勉強するときには、意識して復習の機会をつくらないと、一回本を読んだだけで「もうわかった。大丈夫」と思い込んでしまいがちになるのだ。
脳の特性
(注2)として、目や耳から入った情報をいったん溜めておいて、その中から必要のないと思われる情報を自動的に脳の奥底にしまい込んでしまう。では、どこで、「必要な情報」と「無用な情報」をよりわけている
(注3)のかというと、同じ情報が繰り返し入ってくるかどうかということである。この間隔は一カ月とわれており、すなわち、一カ月の間で最低二回繰り返して頭に入れることで、「必要な情報」だと脳が認識し
(注4)、知識が定着していくのである。逆に言えば、一度頭に入れて覚えたつもリでも、一カ月の間に繰り返し情報が入ってこなければ、いずれは「無用な情報」として脳「のう」がどこかに片付けてしまうのだ。
この結果、いったん覚えたはずの知識は、しばらくすると記憶の中から失き消えて
(注5)しまったようになり、実際に試験をしてみるとまったく思い出せないということが起こる。そをそこで、「年をとって記憶カが弱くなった」とか、「できていたはずなのに」と落ち込んでしまうけれど、実際には老化のせいでも何でもなく、 単に復習をしていないだけだということが多いのだ。
(和田秀樹『40 代からの勉強法一やる気・集中力をどう高めるか』による)
(注1)織り込まれる:ここでは、入っている
(注2)特性:ここでは、特徴的な働き
(注3)より分ける:ここでは、分類する
(注4)認識する:こここでは、判断する
(注5)失き消える:なくなる