(1)
 以下は、これから就職する人に対して書かれた文章である。
 好きなことをしてもお金にはならない、というのがふつうの考え方です。一日中ただ好きなゲームをしていてよい、などという職業はありません。でもじつは自分の「好き」をきわめる(注1)とかならずそこにだれかほかの人のニーズがあって、仕事があるということを覚えておいてください。
(中略)
 いまは人びとの「好き」が多様化しつつある時代です。食べ物の好みや服の好みだけではありません。細かいライフスタイルのちがいに人びとが価値を見いだす(注2)ような時代です。カタログにないもっとちがう商品はないだろうか?これとあれの中間のサービスはないだろうか?といったぐあいです。 これまで大きな企業が機械的にマーケティング(注3)をして提供してきたような「売れる商品」「売れるサービス」では対応しきれないようなモノ、サービス。これを「ニッチ(すき間)」とよぶことがあります。いまはまさに(注4)このニッチが広がりつつある時代です。
 こうしたニッチに気づくことができるのは、何かが「好き」な人です。自分の好みを突き進めていくと、そこに何かの不足を感じる。その不足がじつはほかの人も欲しがっていた何かかもしれない、というわけです。
 何かを好きな人ほど、何かに不足を感じている人ほど、それを仕事に変えていくことのできる可能性があります。

(梅澤正・脇坂敦史『「働く」を考える』による)


(注1) きわめる:ここでは、徹底的に追い求める
(注2) 見いだす:ここでは、認める
(注3) マーケティング:市場調査
(注4) まさに:ちょうど

1。 (60)筆者によると、いまはどのような時代か。

2。 (61)好みを突き進めた人がニッチに気づくことができるのはなぜか。

3。 (62)この文章で筆者が言いたいことは何か。