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以下は、辞書の編集にかかわったことのある人が書いた文章である。
最新の意味が、辞書に載ってない、とはよく言われることである。保守的
(注1)すぎる、と。辞書は、その点、小回り
(注2)がきかない。けれども、最新の意味を辞 書に載せたとたん、その意味が消えてしまったらどうだろう。その辞書は、もう使われ もしない古い意味を載せていることになる。だから、辞書の編者は、 新しい意味が、 日本語の中に、 きちんと定着するかどうかを見極め
(注2)ている。 保守的というより、 慎重だと言ってほしい。
(小野正弘 『オノマトべがあるから日本語は楽しいー擬音語. 擬態語の豊かな世 界』による)
(注1)保守的:新しいものを受け入れず、古いものを守ろうとするこ と。
(注 2)小回りがきく:状況にすぐに対応できる 。
(注 3)見極める:ここでは、十分に観察し、確かめる 。