A
 将来、有効となる能力とは、「理解力」「想像力」「表現力」の三つです。数学や外国語、歴史、理科など、さまざまなジャンル(注1)、要するに別角度からのゕプローチ(注2)を経て、この三つの力を養うのが勉強の本質(注3)なのです。
 人生におけるほとんどの仕事は、この能力によってなされます。あるいは、子どもが成長して、大きな困難にぶつかったとしても、この能力が養われていれば、上手に克服することができます。 さらに、この能力は、小金を稼ぐためにのみ役立てるべきではありません。社会に貢献し、人類が進歩するための貴重な一助となるためにこそ、能力を高めなければならない、とそこまで言ってやると、子どもの目は断然と(注4)輝き始めます。

(鈴木光司『なぜ勉強するのか?』による)



B
 社会はわからないことだらけだ。そんな社会で生きるために大事なことは、わか らなくても簡単にあきらめないことだ。
 簡単にあきらめない能力を養うためにどうしたらいいか。実は、この能力を養う ために人は社会に出る前に勉強をしているのだ。勉強するとわからないことに出会 える。わからないからこそ勉強するのであって、初めからわかっていたら勉強しよ うという気も起きない。社会人になった今では数学も歴史も、習ったそのままの知 識は忘れ去ってしまったが日常生活には特に困ってはいない。しかし、わからない ことにチャレンジし、わかるようになるまであきらめずに勉強するという姿勢は、 今も役に立っている。

(注1)ジャンル:ここでは、科目
(注2)ゕプローチを経て:ゕプローチによって
(注3)本質:ここでは、いちばん大切なこと
(注4)断然と:ここでは、必ず

1。 (69)AとBで共通して述べられていることは何か。

2。 (70)勉強することについて、AとBはどのように考えているか。