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 心理学者で立正大学特任講師の内藤誼人さんも、就寝(注1)直前の勉強を勧める一人。では、日中の勉強は無駄が多いだけかというと、「そんなことはありません」 と内藤さん。眠る前以外にも、記憶をするのに効率的(注2)な時間帯があることが 分かっているそうです。
 以前、ゕメリカの教育心理学者が、小学5、6年生を対象に、記憶力や理解力が時間帯によってどう変わるかを調べる実験を行ったことがあります。その結果、計算や暗記などの作業効率は、午前10時と午後3時くらいがピークでした。午前8時の成績を100とすると、同10時に160まで上昇。その後、午後1時に98まで 下がり、同3時には103に上がるという曲線を描いたそうです。
 「午前と午後に一度ずつ効率の上がる時間帯に、最も集中して勉強すれば効果的。もちろん個人差はあるので、自分のリズムをきちんと把握(注3)し、ノッている(注4)時間帯を見つけることが大切です」1日に5時間勉強し、1時間に50個ずつ覚える。そんなやり方は、非効率極まりない(注5)。絶好調(注6)の時間帯に2倍のノルマ(注7)を課し、それ以外は軽く流す。 タイミングをとらえた勉強法が、記憶力を高めるのです。
 「能率の波は、自分で意識的にコントロールすることもできる。自分が勉強する時間帯に、最も頭の働きが良くなるよう習慣づけられればベスト」と内藤さん。タイミングを待つだけではなく、自分から作り出す“攻めの姿勢”が求められるのです。

(読売新聞2011年11月18日付朝刊による)


(注1) 就寝:寝ること
(注2) 効率的な:ここでは、効果が上がりやすい
(注3) 把握する:ここでは、つかむ
(注4) ノツている:ここでは、調子が良い
(注5) ~極まりない:非常に~だ
(注6) 絶好調の:非常に調子が良い
(注7) ノルマ:ここでは、しなければならない勉強の量

1。 (63)アメリカの教育心理学者の実験結果について合っているのはどれか。

2。 (64)この文章によると、効果的な勉強法とはどのようなものか。

3。 (65)“攻めの姿勢”とは何か。