(1)
従来
(注1)の会議では、一番地位の高い人が自動的に司会ないし
(注2)議長の役もする傾向があった。
【中略)
「いい会議」をもつためには十分な準備が必要である。トップにそんな時間があるはずはない。したがって、自分で準備をして会議を運営するよりも、他の人に任せる選択をすべきである。トップは、あまりたくさんのことをやりすぎてはいけない。全部をやろうとすることは、すべてがうまく運べないことにつながりかねないから。しかし、自分が一番情報をもっている場合が多いので、最初の段階で他の出席者に必要な情報を伝える義務はある。また、決定されたことを受け入れるためには、自分も積極的に参加して言うべきことは言っておく必要がある。トップの姿勢次第で、他の出席者は積極的に参加することもあれば、本音
(注3)を言えずにただそこに座って居るだけで、かつ
(注4)不満を心の中にしまい込んでおく参加の仕方になってしまう場合もある。その意味でトップがどのように参加するかは、会議の成否
(注5)を決める決定的な
(注6)要因の一つである。
あとは、進行役に任せることが大切で、基本的には、トップの存在感が薄いほど他の出席者は積極的に参加する。その方が普段は聞けないたくさんの意見やアイデイアを聞くチャンスを得られることにもなるし、会議に参加して本当によかったと誰もが思えるようになるのである。
(吉田新一郎『会議の技法』による)
(注1) 従来:今まで
(注2) ないし : または (注3) 本音:本当に思っていること
(注4) かつ :そのうえ
(注5) 成否:うまくいくかいかないか
(注6) 決定的な:ここでは、重要な