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他人にわかるようにおしえることは、実は大変むずかしい。自分がよくわかっていないと相手にわからせることはできないからだ。「何かを学ぶもっともよい方法は、それをおしえてみることだ」。こういった人がいるが、まさに至言
(注)だろう。とすれば、一見理解したようでいて実はまだあいまいさがのこっている一ーこんなときには、他人におしえようとすることにより、逆に、自分の知識の不完全さに気づかせ、よく自分で考えなおしてみることを動機づけることになるだろう。これは、知識を安定したものにするのに役立つ。
(波多野謹余夫・稲垣佳世子 『知的好奇心』 による)
(注) 至言だろう:ここでは、その通りだろう