(1)最近、近所の花屋が閉店した。30年以上も「町の花屋さん」として愛着されてきた店だ。この店がオープンしたのは、わたしがまだ小学校に入る前だった。わたしにとって、①店の思い出はそのまま子どものころの思い出と重なる。家族の誕生日や家にお客さんが来る時などには、母と一緒にこの店で花を買っていた。
小学校を卒業する時には、こんなことがあった。クラス全員でお金を出し合い、担任の先生に花束をおくることになった。「お礼の気持ちを表すために、見たことのないほど大きいのをおくろう」とわたしたちは話し合った。しかし、小学生のおこづかいの中集まったお金は少しだけだった。それで、②わたしたちはどきどきしながら、「大好きな先生にあげるから、できるだけ大きい花束を作ってください」とお願いした。おじさんは嫌な顔もしないで、特別大きなバラの花束を作ってくれた。
30年以上もきれいな花束を作り続け、あたたかい思い出を作ってくれたおじさんに、「ありがとう、お疲れ様でした。」と言いたい。