(2)
 私はどちらかと⾔えば根が楽天的だが、昔は営業の強烈なノルマ(注1)に苦しんだこともある。そういう⽇々の中から①いつしか⾝につけたことのひとつが「幸せ感のハードル(注2)を低くする」だった。
 たとえば、あと⼀歩のところで契約が結べなかった⽇、会社に戻ってしょげかえる(注3)代わりに「あの社⻑と⼀時間も話せるところまできた」と⾃分の成果を⾒つけて評価する。そうやって⼀⽇を締めくくれば(注4)、明⽇への活⼒も湧いてきた。
 仕事そのものも、「仕事は趣味や遊びとはちがう。仕事はお⾦をもらうのだから、楽しくないことがあっても当たり前」と思ってやってきた。②そこを基準にすれば、少々のことは当然のこととして受け⼊れられる、何かいいことがあったときは「お⾦をもらいながらこんな気持ちを味わえるなんて」と幸せ感も倍増する。
 どうせ⼈⽣の⼀定の時間を仕事に費やすのなら、その時間が楽しいと思えるほうがいいに決まっている。それに楽しいと思ってすることは、何かとスムーズに運び成果もあがるものだ。こうして好循環が⽣まれてくる。
 ⼈は楽しいから笑顔になるのだが、「まず笑顔をつくると、それによって楽しい気持ちが湧いてくる」という研究結果があるという。これにならえば、充実感を得られる仕事を⼿にするには、楽しめる仕事を探すのも⼤事だが、⼩さなことでも楽しめるようになることも意外にあるどれない(注5)ポイントだ。

(⾼堿幸司「上司につける薬︕-マネジメント⼊⾨」講談社による)


(注1)強烈なノルマ︓厳しい条件で課される仕事
(注2)ハードル︓ここでは、基準
(注3)しょげかえる︓ひどくがっかりする
(注4)締めくくる︓終える
(注5)あなどれない︓軽視できない

1。 (63)①いつしか⾝につけたことのひとつの例として近いものはどれか

2。 (64)②そことは何か

3。 (65)この⽂章で筆者の⾔いたいことは何か