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 一つの仕事をやるについて、いろいろな選択肢があり、その中に「いままでどおりやる」というのがあると、放っておけば、ほとんどの人はそのやり方をとるでしょう。それで、そこそこの成果があがるのだから、なにも未知の方法に挑んで苦労することはないというわけです。
 それがベスト(注1)の方法かどうか、あるいはほかにもっと能率的にできる方法があるかもしれないのに、①そういうことは考えもせず、ひたすら②一番楽な従来どおりのやり方を続けていこうとする。人間には習性として、そういう傾向があるものです。
 しかし、そのようにやり方を決まってしまうと、みんなものを考えなくなって、たとえ、そのやり方が時代に合わなくなってきてもおかしいとも思わなくなってしまいます。
 こうなると、もはやその組織に進歩はありません。下手をすれば、時代遅れの組織になって、競争に負けてしまうでしょう。官庁病とか大企業病などと言われるように、組織というのは放っておくと、それこそあっという間に動脈硬化(注2)状態に陥ってしまうものなのです。
 特に管理者は、今のやり方でいいのか、時代に合っているか、もっと能率的な方法があるのではないか・・・・いかなる種類の仕事であっても、そのことを常に考えていかなければなりません。
(注1)ベスト:一番いい
(注2)動脈硬化:血液の流れが悪くなる病気

1。 (60)①「そういうこと」とはどんなことか。

2。 (61)②「一番楽な従来どおりのやり方」とはどんなやり方か。

3。 (62)筆者は、仕事のやり方について、どうするのが良いと言っているか。